泌尿器科について
「泌尿器科」というと、「恥ずかしい」「何をしているか分からない」というイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、世の中の誰もが、「トイレになかなか行けず、我慢するのが大変だった」「寒くなるとおしっこが近くて困る」「夜にトイレで何回も起きてしまう」「腰が痛くて血尿が出て、近くで石と言われて痛かった」といったおしっこの出方、色などの異常に関連する困ったことをすでに経験されていると思います。泌尿器科とは、主に尿にまつわるトラブルから、腎臓から尿が出るまでの臓器の異常を診断、治療するところと考えていただくとわかりやすいかと思います。
近年は、高齢化社会、生活の欧米化に伴い、排尿障害、前立腺がんなども増加していること、今まで「気のもの」とされて治療の対象と理解されていなかった女性の頻尿、尿失禁などが治療可能であると認識され、さらに薬剤の進歩によって薬等での積極的な治療が可能となってきたことから、泌尿器科がお役に立てる事が増えてきています。「気のもの」「年のもの」などと長年考えられてきた事でも、治療することで生活の質を大きく改善する事も多いです。
当院は「みんな」のお役に立てるクリニックとして、まずはおしっこの悩みを気軽に相談できる場所として使っていただきたい、と考えています。ぜひお気軽にご相談ください。その一方、明石仁十病院の分院として、膀胱内視鏡、CT検査などの高度な検査、さらに入院加療については、明石仁十病院で対応可能となっています。
手術、集中治療など高度な医療が必要な場合は、加古川医療センター、加古川中央市民病院、明石市民病院、兵庫県がんセンターなど、周辺の基幹病院をすみやかに紹介させていただきます。また、遠方の基幹病院での治療後のカテーテル管理、薬物治療を含めた外来治療についても先方と連絡を取り合った上で、明石仁十病院訪問診療、訪問看護を含めてできる限り柔軟に対応させていただきますので、こちらについてもご相談ください。
排尿障害とは
排尿障害は、膀胱に尿を貯めておくことが出来なくなったり、膀胱にたまった尿を排出しにくくなったりする状態です。尿が貯められなくなると、短時間で何度もトイレに行きたくなったり（頻尿）、夜に眠れなくなったり（夜間頻尿）して日常生活に支障を来たします。尿が排出しにくくなると、すっきりしない感じが強く出たり（残尿感）、膀胱が張って痛みが出たりします（尿閉）。さらにひどくなると、腎臓の機能が落ちることもあります。
血尿とは
健診などの尿検査で、「おしっこに血が混じっています」とか「尿潜血反応陽性です」などと言われることがあります。このような、いわゆる「血尿」は、尿をつくる腎臓や尿の通り道の病気のサインとして重要です。
血尿には、検診などで指摘されて初めて分かるもの(顕微鏡的血尿)と、真っ赤、茶色、黒色など目で見て分かるもの（肉眼的血尿）があります。種類別に以下のような対応をお勧めしています。
- 顕微鏡的血尿
- 指摘された場合は、治療可能な原因がないか、明確な異常がないか一度調べておく必要があります。
泌尿器科あるいは内科受診をお勧めします。 - 肉眼的血尿
- 膀胱炎、腎盂腎炎といった尿路感染、腎結石、尿管結石といった 尿路結石、膀胱がん、腎がんなどの悪性腫瘍（がん）が原因である 場合も少なくありません。
早めの泌尿器科受診をお勧めいたします。
尿路結石とは
尿路結石は、尿路に石（=尿の結晶）が生じる病気です。ほとんどの方が、「石になって、痛くて痛くて大変だった」という話を周りで聞かれた事があると思いますが、結石ができただけでは、かならずしも痛みが出るとは限りません。腎臓に結石が出来たとしても、それが小さく腎臓内にとどまっている間は痛みなどを起こしません。しかし、大きくなると痛くなくても腎に障害をもたらしたり、尿管に詰まると背中や腰に激しい痛みを起こしたりします。さらに尿管に結石が詰まってしまい、流れなくなった尿が汚れてしまった場合には、熱が出たり、ひどくなると血圧が下がったりする（敗血性ショック）時もありますので、迅速な診断、治療が必要となります（結石性腎盂腎炎）。
尿路感染症について
体の外から尿路に細菌などが入り込んできても、通常は尿で押し流してしまうため、大事には至りません。しかし、ときには尿路で細菌が増殖し、尿路感染症（膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎）を引き起こしてしまうことがあります。
泌尿器がんとは
泌尿器臓器では、がんは主に前立腺、尿路上皮（膀胱、尿管、腎盂）、腎、精巣に生じ、進行すると命に関わります。がんに対しては早期に発見し、早期に適切な治療を行うことが大切ですので、検診などで異常を指摘された場合はすぐに泌尿器科を受診してください。
泌尿器科で緊急処置が必要となる状態
- 陰嚢が痛い、急に腫れてくる
精索軸捻転、精巣腫瘍、精巣上体炎など（若い方の場合は大至急、救急受診できる病院に電話で相談してください。） - 血のようなドロッとした尿が出るけど、詰まったようで尿が出ない
膀胱タンポナーデ（血の塊が詰まって尿が出せない状態） - 腰が痛くて結石かな、と思っていたが、痛みが強くなって熱が出てきた
結石性腎盂腎炎（結石が詰まり、流れなくなった尿に細菌がついた状態）
といった状態があります。
当院のみでは対応できない場合がありますので、必要と考えられた際には速やかに基幹病院に紹介させていただきます。